先日、江國香織の『すいかの匂い』を読みました。
読み終えて、感じました。
この作品はまさしく「文学」だと。
ぼくが「文学」だと感じる作品にはいつも「奥ゆかしさ」があるような気がします。
別に、謙虚だとか、控えめだとか、旧時代の女性像みたいなものを意味しているわけではありません。
字義通り、「奥を知りたくなる」そんなことを言いたいのです。
読んでいる際に味わった、漂う空気感や意味ありげな言葉の妙を、何度でも読み返して、なんとかその真を垣間見たい。
そんな感覚を喚起する作品を、ぼくは「文学」と呼びたいのです。
そんなことを考える、今日この頃です。